自律の意味

 自律というと、自分に厳しくというイメージがある。そこで大切なのは何によって自らを律するかという格率である。

 その格率で見出されるのは、自らはどうしたいか、どうなりたいかという欲望である。自律と欲望と一見、相反するかもしれないが、それはコインの裏表の関係である。というのも、自ら欲望する自分になるために、自らを律するからだ。

 とすると、自らの欲望と向き合うことが自律の第一歩といえる。欲望は際限がない。すべてを満たすのは難しい。満たせないと、ストレスがたまる。結果、欲望にも優先順位をつけざるを得ない。そうすると、なにを価値とするかという自分の価値観が見出される。その価値観が自律へとつながる。

 達成され得なかった欲望もそこにはある。しかし、そこで捨てられた欲望を、成し得なかったとマイナスに捉えてはいけない。それを自律の成果だと肯定することが、心の安らぎにつながるのではないだろうか。