違っていいこと

 NHKEテレの仕事学に伊藤真氏がでていた。実は、自分が浪人していてた時、氏の講演を聞いたことがある。覚えているのは、2つのことである。ひとつは「人とちがっていいこと」が認められているのが憲法で一番大切なことだということである。もうひとつは、「ゆっくり急げ」ということだ。
 前者によって、みんな同じではなく、みんなちがうということの重要さを知り、後者によって、「あせらないこと」を覚えた。氏を見ると、なんだか熱くてさびしくて人をよせつけなかった青かった時代を思い出す。

[h23読了69]

 頭の使い方の根底にあるのは249ページにある、筆者の「自由の感覚」だろう。私には信じるものがあるがゆえに、他者にも信じるものがある。であるからこそ、自分の信念を絶対的なものとして、それによって他者を縛ってはならない。そうした「柔らかな精神」を持つことこそ、筆者にとって一番の「頭のうまい使い方」なのであり、寛容さを失い他者を落としても低く見てしまうことこそ「頭のへたな使い方」なのであろう。