経験の意味

 新しい環境に来て、3年が経とうとしている。3年前は、不安しかなかった。あれはどうする、これはどうする、ひとつひとつが見えなかった。

 試行錯誤しながら、少しずつ経験を重ねていくことで、ここはこうした方がいいのではないかというアイデアが生まれるようになってきた。チェックリストができるようになった。そして、具体的な場面をイメージしながら策を考えられるようになってきた。

 経験する前は、抽象的な言葉を理解はできていた。だが、実際にまでおとしこむことができていなかった。腑に落ちる理解をしていなかった。

 経験は理解を深める。理念を言葉だけではなく、人間が行動する具体的な場面で描くことができる。実践と理論の往還というのはこういうことではないかと実感される。

 その言葉を具体的に描いてイメージして語ること、そしてその具体によって言葉が検証されていく。経験によって学ぶことを身をもって知った3年間だった。