大局観と判断力

 11月は山あり、谷ありの月であった。なんとなく問題が起こるのではないか、そんないやな予感があったが、そのいやな予感が的中してしまった。起きてしまったことは仕方がない。事実は事実なのだ。
 そう、何を言っても起こってしまった事実は事実なのである。それをなかったことにできないことに事実の重みがある。そうであるがゆえに、事実から出発することが大事なのだ。
 そして、そこで大切になってくるのが、状況判断である。だが、状況判断とひとことにいっても、それは様々な要素が混じっていると思う。
 ひとつは、問題状況であるという「事実」。2つ目は、いかなる状況であるのかという「事実認識」。3つ目はその状況の結果がどうなるのかという「結果推測」。4つめは、では具体的にどうすればよいのかという解決策を考える「思考」。そして、5つ目は、数ある選択肢の中から、最適な選択肢をチョイスする「判断力」。
 以上のような、状況判断を細かに見ていったときに、大切だと思うのは、「大局観」だと思った。つまり、その事実をその背景、結果まで見通して考えられることである。と同時に、どの「判断」が最適なのか直観的に掴み取る「思考力」である。そう思うからこそ、最近は直観を磨けるように、しなければならないと思う。そのためには、ひとつひとつのケースに対して、誠実に向き合い、最善を尽くし、検証していくしかない。その経験の積み重ねの結果としてある種の「直観」という、勘が働くようになるのだと思う。

[11読了82]
小さな自分で一生を終わるな! (知的生きかた文庫)

小さな自分で一生を終わるな! (知的生きかた文庫)

 すべては心から、己から出発せよ。心のままに。しかし、その心というのがやっかいなのだ。本当の自分とは、心からという問いは、ひきつけるが、であるがゆえに、デッドロックに乗り上げてしまう。心を大切に、心とはいったい何なのか、そういった哲学的な問いを発したくなると、この種の自己啓発本は読めなくなってしまうのだろう。

[11読了81]
耳をふさいで、歌を聴く

耳をふさいで、歌を聴く

 奥田民生への評価を知り、奥田民生を聴いてみた。たしかにいい。音がいいのだ。それは、奇をてらった作りこんだというよりは、シンプルだからこそ響いてくるメロディーなのだ。その音楽は、解散してしまったけれども、オアシスの「モーニンググローリー」を初めて聴いたときのように、響いてきた。

[11読了80]
モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

モオツァルト・無常という事 (新潮文庫)

表題作の「モオツァルト」の文章は、音楽的である。速度がある。ぐいぐいと読み手をひっぱていく。それでいて、しなやかに突き刺さってくることばに出会わされる。