息急ぐ。

 なんとなくの不安感から、恐怖感から落ち着かない日々がある。内なる声に耳を傾けようとも、そうした不安から聞き耳を立てる余裕がない。食事も早く、ぐっと構えて、溜めるということができないでいる。
 落とし穴の予感。油断をしているのは間違いない。というより、この言い知れぬ、こころの隙間はなんなのだろう。一息つきたいが、ひと息つけぬ、多忙な日々。錨をおろす、そんな瞬間がなく、常に自転車操業。濃密な時間ではなく、軽く、薄い時間。
 私が求めているのは、そうした軽薄な時間ではなく、濃密なコミュニケーション空間であったはず。人々の声が交差する、そしてぶつかり合う。探求の日々。いったい私はどこに向かうのだろうか。方向感覚を失い、彷徨う。ただ、不安感が渦巻いているのだ。

[h23読了79]
金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)

金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)

 著者は高学歴の人だ。東大、ハーバードのビジネススクールと。その学歴だけで圧倒されてしまう。が、大事なのは学歴が「学校歴」ではなく、「学習歴」だということだ。この文庫本の中で、著者は自信の「学歴=学習歴」を振り返りつつ、何を学んできたのかを自分の個人史とともに明らかにしていく。すなわち、著者が何を学び、そして、それを今の自分はどう意味づけているのかを知る一冊だと思う。

[h23読了78]
滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

 真木悠介/見田宗介の本を読んだ者ならば、「コミューン」という言葉に解放的でやわらかな響きを感じると思うが、この一冊を読むと、「コミューン」のイメージが反転し、閉鎖的かつ抑圧的な言葉として響いてくる。ここに「コミューン」の困難さがあると思う。そして、学校が持つ権力性というより、美しい理念を追求し生きることが、一方では抑圧として個人にのしかかるということを読みながら思う。

[h23読了77]
三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

 東京に住み始めて、買ったもののずっと塩漬けにしていた一冊。「頭の中はもっと広い」。漱石を久しぶりに読んで感じたのは、文のリズムがよいということだ。スピード感がある。しかし、ドラマはあまりない気がした。むしろ、明治時代の「東京」論であったり、「大学生」論として読んでみるとおもしろのかもしれない。

[h23読了76]
授業の腕をあげる法則 (教育新書 1)

授業の腕をあげる法則 (教育新書 1)

 別に授業をする立場ではないのだけれども、集団を学習する組織に変えていくうえで、ポイントとなる教師の行動原則についてのべた一冊。一番おもしろいなと思うのは、「すなおさ」について「みんなが意見をいってくれること」というのはなるほどだと思う。そして、それ以上に、教師でこの原則を身に付けている人に出会ったことがないというのは、きっと自分が大学まで恩師と呼べる人と出会わなかった一員のような気がする。