ほころびとひらけ

 どうも閉じた感覚がとれないでいた。片づけようとしても、その気力がない。どこかに出かけようとしても、その気力がない。ありとあらゆる点で、閉じられていた。
 しかし一方で、開こうとしていたことも事実である。そこで、開いていく導きの糸としたのが「禅的」であることだ。
 禅というよりも、禅的であること。禅の道に進むのではなく、禅の道に通ずるような方向を向くこと。いわば、山門より境内に一歩踏み出すのではなく、山門に向かっていくこと。
 そうして、少しずつ、少しずつ片づけ始めた。シンプルに、シンプルに、そして、シンプルに。ひたすら捨て、集め、寄せ、掃き、拭きを繰り返す。そうすることで、視界が開けてきた。部屋を片付けることによって、足の踏み場が見えてきた。気持ちも開けてきた。なんとなく、気持ちも落ち着いてきた。
 ほころびをほっておくと、それは修復できないほどぼろぼろになってしまう。ほころびをそのままにしないこと。そうすることで、決定的なダメージを受けずに済む。であると同時に、無駄な時を過ごさずに済む。それによって、こころが整えられる。そして、物事に向き合えるようになる。
 結果として、「身」に付き、小さな「実」となってゆく。

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負けてたまるか! 若者のための仕事論 (朝日新書)

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組織を伸ばす人、潰す人 (PHP文庫)

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