旅という方法

 休んでも行き詰まり、何をしていても焦燥感や疲労感がとれないでいる。夏になっても、なかなか気持ちが晴れない。自分はそんなときに、旅に出る。もちろん一人旅である。
 ひとりになって、歩き回って、汗だくになって考える。無心になる。ただただ、その土地を歩く。そして、次にどこに行こうと、プランを立てる。時間は自分を中心に回っている。
 時間軸を自分中心にすることで、心地よい時間が取り戻せる。また、旅先という意味で、よい緊張感を保ちつつ、注意力が喚起される。心が少しずつ整っていく、そんな感覚を持つ。
 帰りの新幹線で、本を読んでいても、文字がすっとはいってくる。自分がすこし空になったのだと思う。

[h23読了55]
ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫)

 これも買ってから、積読状態だったが、読了。ことばなのだが、詩にちかい。繰り返し、繰り返し、リフレインによってこころにそのことばが刻み付けられる。当たり前のことなのだけれども、その当たり前のことがいかに大事かを改めて自分に問いかけてくれるという意味では、こうした賢人や偉人のことばを読むことは大切だと思う。

[h23読了54]
創られながら創ること―身体のドラマトゥルギー

創られながら創ること―身体のドラマトゥルギー

 自らくずされることをいとわないこと。からだというものに自分自身、最近目が行くようになった。それは、あまりにも仕事が忙しく、またそれ以外の悩みによって自身のからだに変調をきたすことが多かったからだ。だからこそ、からだにめがいくようになり、呼吸に目が行くようになった。「ほんとうの知性は身体を活性化する」。たしかにそうである。知性によって、わたしたちのからだはどこかかるくなるのである。そんな知性を身に付けたいものだ。

[h23読了53]
帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

帝王学―「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)

 『貞観政要』という書物に興味があったので、その解説本を購入。「創業よりも守成」の難しさを実感しているからこそ、その重要さを説くこの書物が気になったのだ。たしかに、さまざまな困難がある中で、その道を切り開いてきたパイオニアたちは尊敬すべきだし、その方たちの声を聴くことも大切だ。しかし、重要なのは、変わりゆく時代の中でどう変わっていくかであると思う。変化をしなければならない、しかも大事なものを残しながら。それが「ここ」のやり方だから、一刀両断するよりも、いまいる人たちから広く声を集め、変えていくことが大事なのだと思うのだけれども、それが難しい。伝統ということが足かせになる。伝統は大切である。しかし、形式主義に陥ったら、だめである。安吾ではないが、私たちはけっしてその伝統を守るために仕事をしているのではない。伝統はあくまでも実質を伴っていなくてはいけない。大切なのは実質だ。そのためには、諫言を言う人と聞ける管理者、そして、伝統にあぐらをかいて異質なものを許容しない者たちに出てもらうことだ。

[h23読了52]
古美術読本(三) 庭園 (知恵の森文庫)

古美術読本(三) 庭園 (知恵の森文庫)

 数年前にもらった本。読もう読もうとは思っていたんだけれども、読めずじまいで、積読状態であった。しかし、今度京都に行くということで、読んだ。しかし、内容はさっぱりはいってこない。難しい。内容が難しいというより、そこにこめれられている文脈を自分は共有していないのだと思う。言い換えれば、鑑賞には文脈を持つということが大切なのだ。