自分を掘ること 

 自分にとって最も幸せな時間は何だろうか。

 それは、個室で、音楽を聴きながら、コーヒーを飲み、本や雑誌を読み、あれこれ考え、アイデアを膨らませながら、それを文章なり企画書なり、何らかの形にしてまとめることだ。今思うと、浪人生の時に図書館で一人受験勉強をしたり、学生の頃に図書館にこもって、あれこれ考える時間が好きだった。

 孤独になれる時間とは贅沢だ。仕事をし始め、家族を持ち始めると、孤独になる時間がなくなる。それによってもたらされる幸せもたくさんある。でも、やっぱり、自分にとっていちばんの贅沢は、孤独にあれこれ考えを膨らませることなんだ。

 読書をし、美術館、劇場、映画館に足を運び、作品を見る。刺激を受ける。そうして、自分を掘り下げていく。この時間が何よりも至福の時だ。つながりを求めて放浪するよりも、自身を掘り下げる。この豊かな時間を持つことが今の自分を回復させてくれる何よりの手段な気がする。