青春をひきずる

 まだ、自分は青春をひきづっている。たまに、いや、よくといってよいかもしれない。10代の終わりから20代半ばまでのことを思い出す。手に取った本、出会った人、聴いた音楽、その時見た映画、演劇、風景、さまざまなことをふとした瞬間に思い出す。

 センチメンタルかもしれないが、いつもそこに戻っていく。30代が終わろうとしている。でも、その時と大きく変わっていないのかもしれない。10代の終わりに東京出てきて、様々な理想を描いて生活を始めた。けれども、それは描いた理想と違っていた。いい意味でも、悪い意味でも、だ。

 東京に出てきた時間の方が多くなった。そして、私は何者になったのだろうか。何者にもなっていない。ひとりの、屈折した生活者として生きている。これでいいのだろうかと焦りながら、現実の流れに乗っかってきた。青春と後悔を、屈折したまま、ひっそりと抱き抱えて、汗をかきながら生きている。