こなすのではなく、味わう

 この夏、量を意識して、速読していた。気になるところがあっても、止まらず、文章を読み進めた。

 確かにそうすると、本をこなす事ができる。しかし、その本が何をいっているのか、メッセージが残らない。どんどん読んで、どんどん忘れて、その中で残るものが重要なのだ、ということもあるかもしれない。

 けれども、「こなす」ことが自分には合わない。せっかく読んだのならば、それが何を言わんとしていたのか、汲み取りたい。

 人生の折り返し地点が見えてきた。そんな時にふと考えるのが、「味わう」ことを覚えたいということだ。ファストフードをガツガツ食べる、それもいいかもしれない。けれども、せっかくならば「味わい」たいのだ。

 そこにつまっている「味わい」を味わいたいのだ。それは、音楽、読書、演劇、映画、食事、旅行、世界の一つ一つを丁寧に味わいたい。そのために、手を動かして、味わいを言葉にしていくことを積み重ねていく。