【読書】

 ぼくは、病んだ人間だ・・・ぼくは意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない人間だ。

 つまり、人間は、永遠にやむことなく、たとえ行先はどこであろうと、自分自身の道を切りひらいていくものなのだ。しかし、ほかでもないそのためにこそ、つまり、このように道を切りひらくべき使命を負っているからこそ、人間はときとして脇道へそれたくなるものであるらしい。〔…〕つまり、道というやつは、たとえ方向はどうちらへであるにせよ、とにかくほとんどつねに、どこかへ向ってつづいているものであり、大事なのは、その方向ではなくて、とにかくそれがつづいているようにすること・・・

地下室の手記 (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)