R25からの金言(by松本大 マネックス証券CEO)

 たしか、私の一冊といった企画で、父親に大学出てから読めといわれたという、モンテーニュ『エセー』を挙げてたのが印象的だった。その後自分も『エセー』を買ったが・・・まだ読了していない。

 自分のキャパシティの内側でラクしながら、自分の能力の限界を広げていくなんて器用なことは人間にはできません。ただ、ムチャをしろ、とは僕は言わないです。ひとつアドバイスをするなら、想像力をうまくつかうこと。例えば上司に頭に来ることもあるでしょう。でも、だからといって文句を言っても何も始まらない。自分がもし上司の立場だったら、その判断をどうするか。それを常にイメージするんです。そうすれば、実際に結果が出たとき、自分の判断が正しかったか検証できる。間違いも学べる。ひとつの上の仕事を仮想体験することで、自分の力を磨くことができるわけです。

 人生やビジネスキャリアって、長いレースなんですよ。東京駅から新宿駅まで行くのなら、駅の数もわかるし、途中の道も想像できる。でも、パリまで行けといわれたらどうですか。人生ははっきりしない未来に進む。ならば、やるべきは今日歩ける距離をしっかり歩くこと。それも100%以上の力で。そうすれば、少しでも早く未来に近づけます。注意しないといけないのは、他人に気を取られて右往左往してしまうこと。他人の基準で無理に走らさせるとなったら、これはつらい。でも、自分の基準で決めた100%以上なら、自分の意思でできる。

 実は人生の選択肢って、そんなにあるわけじゃないんです。だったら好きなことを探すよりも、やっていることを好きになって没頭するほうがはるかに幸せじゃないかと思うようになって。

 一番いけないのは、もう、いい球がいっちゃったから来ないと思ってしまうことです。そうじゃない。またいつか必ず来るんです。