根をはること

 今ある立場で自分は何を成し得たのだろうか、そんな思いを抱く。表舞台に立つことなく、何ら達成感を味わうことなく、賞賛されることもなく、ただただ裏方として動いた日々だった。

 そんなことを実感させる風景を見て、自分は心が折れた。自分の弱さを痛感する。けれども、そんなことを言っていても、流れは変わらないのだ。流れは変わらず、ただただ自分はよどみにならぬよう、いまあるこの時間と場所でやりきることを心がけるしかないのだ。

 漠然とした不安を抱く日々である。後悔とはちがう、不完全燃焼という言葉がぴったりな思いを抱いている。それによって、過ごした年月を否定しているわけではない。

 むしろ、自分にとっては、自らを伸ばす良い機会であったと思っている。「良樹細根」。表にはでられなかったけれども、自分なりの根をはることはできたと感じている。だからこそ、主役となれなかった虚しさがあるのかもしれない。ただその一方で、そうした役回りに徹したからこその、信頼感は得られたのかもしれない。