感動体験

 旅に出た。ある宿に泊まった。部屋、食事、風呂、全てに満足した。確かに値段はかなりはった。少々どころか、自分にとっては高いこと、この上なかった。

 けれども、そこでの体験は格別だった。高いなどということは忘れてしまった。そこでの体験に感動してしまった。

 その時、感動体験こそが価値であると感じた。つまり、貨幣によって交換しても良いと思えるモノ・サービスは、得られる体験の感動度合いに左右されるということだ。「感動」体験を得られれば得られるほど、その価値が高くなる。言い換えれば、価格が高くなる。逆を言えば、何だよという「失望」体験をすればするほど、その価値が下がる。

 単純な原理なのかもしれないが、交換価値とは貨幣と見合う体験を得られるかどうかなのだ。交換価値=価格とは、感動体験できる、歓びを得られるという期待度ではないだろうか。

 週末の「感動」体験が市場原理へのシンプルなアイデアを生んだ。