思考と文体

 その人の思考の「型」と文体はセットであると感じた。ひとつの研究として出した時に、明らかに文体が変化しているのだ。それまでの記述と明らかに変わっている。そして、自分の文章は「哲学的」と言われた。それは、共同研究している相手がアート関係だからかもしれない。
 その違いは、ロジックで詰めていくか、感性で詰めていくかの違いである。言い換えれば、自分は文章をひとつひとつシンプルに積み重ね、積み上げることによってシンプルな議論をしようとする。そして、その書き方は「詰将棋」のようとも言われたことがある。
 一方、相手は修飾が多い。自分と文のリズムが違うので、どうも読みにくい。しかし、読んでいる作家であったり、趣向は比較的近い。しかし、こうも文章のスタイルが違うかというほどの違いが見えてくる。そこには、思考のスタイルの違いがあるのかもしれない。そして、それは思考のリズムの違いなのかもしれない。そのリズムとスタイルは、正直面白みはない。だから、エッセイは自分は苦手である。なぜなら、面白くなく、ふくらみもなく、ユーモアがないからだ。