【ノート】茨木のり子の詩集から。

 あまり、自分は詩というものを読まない。したがって、詩集もそれほどもっていない。
 けれども、有名な「自分の感受性」という詩を読んで、興味を持ち、最近出版された詩集を買った。
 読んで印象に残った詩「苦しみの日々 哀しみの日々」を以下にメモ。

 苦しみの日々
 悲しみの日々
 それはひとを少しは深くするだろう
 わずか五ミリぐらいではあろうけれど


 さなかには心臓も凍結
 息をするのさえ難しいほどだが 
 なんとか通りぬけたとき
 初めて 気付く
 あれはみずからを養うに足る時間であったと


 少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
 やがては解るようになるだろう
 人の痛みも 柘榴のような傷口も
 わかったとてどうなるものでもないけれど
  (わからないよりはいいだろう)


 苦しみに負けて
 悲しみにひしがれて
 とげとげのサボテンと化してしまうのは
 ごめんである


 受けとめるしかない
 折々の小さな刺や 病でさえも
 はしゃぎや 浮かれのなかには
 自己省察の要素は皆無なのだから

 今、自分はなんとなくつらい。というか、苦しい日々を送っているように感じられる。なんとく不自由、そして不条理。しかし、受けとめるしかないのかも。たしかに、酔った時は「ぽん」と落とし穴が待っていた。今は、はいつくばって踏みとどまるしかないのだろう、きっと。