嫌われない条項とは

 勝つ方法よりも負けない方法を重視するというのは、結構勝負事においては、定石だと思う。得意な戦法でガンガンいくよりも、どんな戦法が来ても動じないような、最低限の防御網をしいておくことの方が強いということである。

 サッカーで「攻撃は最大の防御」のチームよりも、「攻撃的防御」のチームのほうが勝つことのほうが多いのはそういった事情だと思う。

 とすると、人付き合いにおいても、最低限おさえるべき条項を知っておくというのは、かなり重要な気がしてきた。では、人付き合いにおいては、どんなチェックリストがあるのだろうか。そこで、処世術の名著ともいえるカーネギー『人を動かす』からのメモ。

 人に嫌われたり、陰で笑われたり、軽蔑されたりしたかったら、次の条項を守るにかぎる―
 一、相手の話を、決して長くは聞かない。
 一、終始自分のことだけをしゃべる。
 一、相手が話している間に、何か意見があれば、すぐに相手の話をさえぎる。
 一、相手はこちらよりも相手の回転が鈍い。そんな人間のくだらんおしゃべりをいつまでも聞いている必要はない。話の途中で遠慮なく口をはさむ。
 世間には、この条項を厳守している人が実在しているのを読者は知っているはずだ。わたしも、不幸にして知っている。有名人のうちにも、そういう人がいるのだから驚く。
 そういう人間は、まったく退屈でやりきれない相手だ。自我に陶酔し、自分だけが偉いと思い込んでいる連中だ。
 自分のことばかり話す人間は、自分のことだけしか考えない。長年コロンビア大学の総長を務めたニコラス・バトラー博士は、それについてこういっている―
 「自分のことだけしか考えない人間は、教養のない人間である。たとえ、どれほど教育を受けても、教養が身につかない人間である」
 話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。興味をもたせるためには、まず、こちらが興味を持たねばならない。
 相手が喜んで答えるような質問をすることだ。相手自身のことや、得意にしていることを話させるように仕向けるのだ。*1

 自戒します。。。。。

*1:カーネギー『人を動かす』p111−p112