【ノート】重力を笑いとばせ!!

赤頭巾 目ん玉をもってついてこい、今宵は少年のイースターだ。忘れるな、切っても生えてくる。それが少年のしっぽだ。だからもしも少年のしっぽを、なにかのはずみで切ってしまったというのなら、どこか夜の屋上でアドバルーンのはずみに結んでしまえ。
トーマ 目玉の下には何が見える。
赤頭巾 夜のふりをした<めまいの都>だ。そこは退化した僕らのしっぽが息をひそめている。けれどもその少年の息吹に耳を貸せ!そして<めまいの都>に目をこらせ!
マリエンバード 何が見える?
赤頭巾 信号機のふりをした光の時代が、僕らに暗号を送ってくる。
トーマ なんていうんだそいつは。
赤頭巾 重力を笑いとばせ。さすれば<めまいの都>にある夜の屋上という屋上が、僕らの目の前からひとりでに沈んでいくだろう。少年はいつも動かない。世界ばかりが沈んでいくんだ。