顧みること

 いまだ人生を語らず、そんなことを思う。思わず語りたくなる、自分の存在を証明したくなる、そんな衝動にかられる、あるいは語ってしまうことがある。その瞬間はとても気持ちがよい。でも、その後後悔してしまう。

 言うべきことを言うと思っても、言い方がある。きっと自分は、思っている以上に言い方がきつい。相手を追い詰めるような言い方をしてしまう。でも、そうした厳しさは結局自分に返ってくるような気がする。

 今の自分のポジションならば、許される言動でも、環境が変わればきっと許されない。だから、その言動は果たして適切なのかどうか、常にふるいにかけなくてはいけない。傲慢になっていないか、否かをである。

 傲慢というのは、自分が謙虚になろうと思っていても、なかなか抑えられないものだ。なぜなら、人は自己顕示欲という欲望があるからだ。自己顕示の味はおいしい。けれども、それは他者にとっては苦味になる。そのことを肝に命じていないと、いつかは自分が苦味を味わうことになる。